熱中症注意!
先週末のお話。
6時半過ぎに1本の電話が。。
ウェルシュコーギーの飼い主様からでした。
『お散歩の途中から急に息苦しい感じになって、帰ってきてもゲコゲコ言っている・・』とのこと。
電話口からは、ワンコがアヒルが鳴いているような、カエルが鳴いているような”ゲコゲコ”という息苦しそうな呼吸の音が聞こえます。
『外の熱気で喉の粘膜が急に腫れて、呼吸がしにくくなっているので、今すぐに【部屋のエアコンを一番低い温度で全開】にして、その【冷たい空気を吸わせて】ください!!』
とお伝えしました。
『冷たいお水を飲ませたほうがいい?』
『喉に保冷剤を当てたほうがいい?』
と聞かれましたが
『そんなことしている場合じゃない!すぐに冷気を吸わせて喉を冷やして!!』
15分後くらいにこちらからお電話したのですが、どうやら呼吸が落ち着いてきた様子。ほっと一安心の一件でした。
この時期、熱中症には本当に注意が必要です。
8月の真夏の時期よりも、7月中旬のような、急激に熱くなった日のほうが熱中症の発生は多いように思います。真夏は飼い主様がかなり注意してくださいますからね。
自分の経験では、5月下旬での熱中症の患者さんを診たことがあります。
熱中症は、単に体が熱くなって”暑い””暑い”となる状態ではありません。
急激に体温が40度近くに上がって、高温のために内臓の臓器の細胞が損傷し、腸の粘膜が損傷することから、血便が出て、腸内細菌やその毒素が血液中を流れ、発見が遅れると多臓器不全となって致死的な経過を辿る、本当に怖い状態です。
このワンコさんのように、涼しくなった夕方6時以降から家を出て、元気に歩いて、お友達ワンコとご挨拶もして、途中まで普通だったのに急激におかしくなる・・・このようなことが普通に起こります。
犬は汗がかけないので呼吸から熱を放散するしかありません。
吸う呼吸が暑いと、喉の粘膜に負担がかかり、無理に呼吸することで急激に腫れる(浮腫)を起こします。
軽度であれば(今回のようにおかしくなった直後なら)、冷気を吸わせてもらって体の中から冷やしてあげるとすぐに回復できるケースもあると思います。
実は、私の愛犬”るいちゃん”も以前、9月下旬に運動公園を散歩していいて急に喉がゲコゲコ言いだして舌がべろーんとなって呼吸がしにくくなったので、慌てて車に戻ってエアコン全開にして、送風口から冷たい空気をせっせと吸わせて、ペットボトルの水で身体を濡らして体を冷やして事無きを得た・・という経験があります。
日頃慣れているつもりでも自分の愛犬となると恐怖でした。。。
今回はコーギーさんだったので、地面から頭までの距離が短いので、余計に地熱の熱気を吸ってしまったのかもしれません。
治まりが悪ければ動物病院に駆け込む必要がありますが、その移動の際も『冷気を吸わせる』ということを覚えておくと、到着するまでにかなり落ち着くこともあると思います。
発見が少し遅れて体が熱くなってしまって、意識が混濁するくらいになった場合は、全身を水で濡らして、身体に風を当てると水分が蒸発する”気化熱”で体表の熱を奪ってくれるので、この状態で動物病院に走る!・・これも覚えておくといいと思います。その15分・30分の処置で回復が全然違ってくると思います。
首や脇・股のところに保冷剤当てて・・・本当に熱中症の症状がでたら正直こんなものでは間に合いませんよ。
もうすぐ梅雨明けですね。これから夏本番です。
夏の暑さと上手にお付き合いして楽しいワンコライフを送りましょう。