獣医師コラム

「介護」記事一覧

室内での滑り止め対策

今のお宅はほとんどがフローリング。

犬の足は土を踏みしめるのが得意な構造になっているので、ツルツルした床は苦手です。

若いうちは筋力もあるので問題ないと思われがちですが、小型犬に多いパテラ(膝蓋骨脱臼)は、成長期の膝蓋骨を含めた膝の関節の形成過程で無理な負荷がかかり続けることによって、正しく成長できなかったことが悪化要因とも言われてます。

最近12歳になった我が家のトイプードルのるいちゃん。

家族として迎え入れる前に、ちゃんと自分の手でパテラがないことを確認していたのですが、実際成犬になるころには膝のお皿が外れやすい体質になっていました。

我が家のリビングもフローリング。

無垢材なので、コーティングしている床よりも滑らないので問題ないかと思っていましたが、それでもだめでしたね。

フローリングの滑り止め対策として、最近では、愛犬の足にやさしい、滑り止め効果の高いフローリング加工などもできるようですが、これはかなり費用のかかること。

なので実際のところは、

キッチンマットのようなものを何枚も敷き詰める。

ホームセンターで30センチ角になっているカーペットを必要箇所に敷く。

などなど。

そういった対策が多いかと思います。

実はこれら、結構滑るんですよね。

実際に指でキュッキュ!って床材を押してもらうと引っかかることなく滑るのがわかると思います。

フローリングよりは滑らないですから、若いうちの日常使いとしては有効かと思うのですが、シニア期になって脚力が落ち、踏ん張りが効きにくくなると、思ったほど役に立っていないケースに出会います。

そんな時、お勧めしているのが

【ヨガマット】。

ヨガマットは素材がゴムなので滑りにくく、クッション性もあるので、中型犬くらいの体重になると沈みこみますので、さらに滑り止め効果が上がります。

そしてなぜか一家に1枚くらい押し入れから出てくるケースが多い。

我が家にも今は使ってないでしまってあるものが1枚あります(笑)。

実際にワンコを普通の床に置いてもらうとわかるのですが、脚力が落ちてきたワンコをフローリングや滑り止め効果の弱いマットの上に四つ足で立たせると、後ろ足もそうですが、前足も広がるようにジワジワ滑っていく、または滑らないように踏ん張っている様子が確認できます。

そこで、ヨガマットの上に乗せると、滑れず立てるようになるんですよね。

本人も嬉しそうな顔をします(ほんとに)。

筋肉はちゃんと使わないと一気に衰えます。特にシニア期は。

衰えて痩せてくると、さらに踏ん張りが効かなくなり、悪循環に陥ります。

立つためには、四肢の筋肉だけでなく腹筋と背筋の力が必要。

特に座って起き上がるときは、足の力ではなく腹筋と背筋を使わないと立てない。

ご自身が立ち上がるときにどの筋肉を使っているのか意識してみるとわかります。

なので、毎回タオルや人の手で介助しすぎると、その介助の力に頼ってしまい、それはそれで筋力が衰えていくので、立たせる際や歩行・排泄の介助などは、最低限の力・最低限支えでサポートしてあげるのがいいと思います。

立たせるときは、四肢は床に対して直角になるように。

折り畳みテーブルの足のイメージです。

内側に入り込むと体幹を支えられないので、尻もちを搗くことになります。

正しい立ち位置に足先を誘導してもらい、滑り止め効果の高いマットで立たせる練習をする。

そして数歩でいいので歩いてもらう。

私はリハビリのプロでもなんでもないのですが、1枚のヨガマットの上でそういった動作を何分がしてもらうよう指導するだけで、その直後にいつもの空間で歩いてもらうと歩きかたが変わることがあります。

ワンコの回復力、恐るべし、です。

ヨガマットを部屋中に敷き詰めることは現実的ではないので、2枚くらい敷いてもらってリハビリ代わりに使用してもらうとか、日常生活でよくある子ところに敷いてもらうと、滑らないことを理解して、選んでそこを歩くようにもなります。

また、お水を飲むところやご飯を食べるところにも敷いてもらうと滑らないことで安心して食べたり飲んだりできるようになります。

また、ちゃこーるぐれいでは、びっくりするくらい滑らないマット、

【防滑防水ダイナグリップシート】

というものがあります。

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これは本当に驚くほど滑らないのでお勧め。

びっくりするくらい滑らないので、シニア期のサポートもそうですが、椎間板ヘルニアなど、神経の麻痺がおこった症例での回復期に使うと、機能回復のリハビリにも役立ちます。

また、足腰が衰えてきたペット向けの大人気商品。

装着するだけで体幹が安定して歩きやすくなる首輪、【歩けるくん】。

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こういったものも併用してあげると、より効果的です。

歩けるくんはとても効果的で、これだけでもいけちゃいそうなのですが、やはりフローリングは滑りますから、床の滑り止め対策は併用してもらったほうがいいと思います。

そして、筋力の衰えを予防するには適切な栄養が大切。

関節のサプリを飲んでいるワンコも多いかと思いますが、関節を支えるのは筋肉。

筋肉の材料はタンパク質。

良質のたんぱく質をしっかり摂らないと、いくら筋肉に刺激を与えても筋力アップはできません。

シニアになったので、シニア用のフードにしている飼い主さんもいるかと思いますが、シニアフードはタンパク質が控えめになってます。

本来はシニア期の方が食べたものの吸収や体内での利用効率が落ちますので、高齢になったからシニア用のフードに切り替えることを私は勧めていません。

いつものように食べていても腰のあたりが痩せてくる場合は、フードの見直しか、フードに脂身の少ないお肉をトッピングするくらいにしてもらってもいいと思います。

ただ、シニア期のこういった問題は、それぞれの体調や事情が違うので、個別に詳しくアドバイスが必要な場合は、ちゃこーるぐれい店舗・ZOOM含めたカウンセリング、愛知県知多半島エリアであれば往診での指導も行っていますので、ご利用いただければと思います。

ご予約は、【ちゃこーるぐれい公式アプリ】、もしくはお電話にて。

褥瘡の治し方


自然治癒力ってあるじゃないですか。
これって自身の身に降りかかった病を自身の力で治す力のこと。

わかりやすいのが【怪我をした】とき。
例えば転んで自分の膝をすりむいてしまったとき。
出血してもハンカチやティッシュで押さえていれば止まるし、汚れていれば洗って、そのまま放置しておけば、かさぶたができて気がついたら治っている。
これは、かさぶたの下で、傷ついた部分が新しい細胞を分裂・増殖させることで元どおりに修復していることですよね、当たり前ですが。
例えばこういう時に毎日消毒していると、治りが遅くなります。
消毒液って、細菌を殺菌するもの。
細菌だけではなく新しく作ろうとしている細胞の活動を阻害してしまうので、いじればいじるほど治りが遅くなります。治りかけのかさぶたを無理にはがすと治りが遅くなる・・・あの感じ。
だから、明らかに化膿を伴う可能性があるような外傷でなければ、清潔に保って、何かで覆っておけば(傷が浅ければそのまま放置でも)土台が健康な生き物なら勝手に治るんです。
よく、怪我した時に【抗生剤】の内服や外用を処方される場合があると思うのですが【抗生剤】って、【細菌を死滅させるもの】です。
【細菌を死滅させること】と、【傷を修復すること】って全然別物で、普通に考えればそうだよね!って思うのに、これがお医者さんでもわかっていないと思う。

私の母は、すねを怪我して病院へ行き、毎日消毒やらガーゼ交換を指示され、いうとおりにやっていても一向に治らずで。
娘の私が『もともと浮腫んでいる足なので巡りが悪いんだし、毎日いりじりすぎだから、ちょっと放っておけば』と言っても、私は医者じゃないから聞いてくれない(苦笑)。
挙句の果てに、【糖尿の兆しがあるんじゃないか】とか、【血流が悪いんじゃないか】とか、【静脈瘤があるんじゃないか】とか、いろいろ検査を重ねられ、特に悪いところがなく、なんとなーーく気づいたら治っていた、、、ということがありました。その間に行った検査代、保険とはいえもったいないよなーって思います。

お年寄りのワンコのトラブルと言えば、褥瘡。
老衰の流れで筋肉が落ちて痩せ衰え、寝たきり、もしくは寝たきりに近い状態になったときに、腰の出っ張っている骨の部分や、肩甲骨の出っ張った部分が地面に当たって皮膚が壊死してお肉や骨が露出してしまう状態です。
私は往診なので、褥瘡でかかりつけ医に行ったけど、継続での通院が負担になるのでと言う理由でお伺いすることがあります。
そういうとき、結構、抗生剤の軟膏を塗っている、イソジンで消毒している、というケースが多いです。
そんなことしても治りません・・・とは断言しないけど、治りがとても遅くなります。
正直、獣医師によっては、【褥瘡】=【もう治らないもの】と思ってるケースも多いのでは、と思います。少なくとも私は、勤務医時代、褥瘡の患者さんを診察すると意識の半分くらいはそう思っていましたから。
だから軟膏だして終わりにしちゃう。

今は違います、褥瘡は治ります。

まずは傷口を清潔にします。
患部に毛が被るようなら毛刈りをします。毛がクッションになるのでは、、、と言う人もいますが、褥瘡は漿液が沢山でるので、その液が毛に付着したままだと汚染されますから、細胞の修復を妨げます。
体液が患部の周りの皮膚に付着したままだと、健康な皮膚の部分も荒れてきますから、毎日清潔に保つことが必要、優しくぬるま湯で洗ってください。
お風呂場などで洗うのが大変な場合は、霧吹きにぬるま湯をいれて、べちゃべちゃになるくらい、濡らしてもらい、タオルで拭く・・を2度3度繰り返せば、”洗う”に近い形になります。
ウェットティッシュはNGですよ。意味がないです。
自分の患者さんにはよく話すのですが、【体液って、おしっこと同じと思ってください。犬のおしっこが手に付いたとき、ウェットティッシュで拭いておしまいにしますか?】。
絶対しないですよね、洗面所に洗いに行きますよね。なぜかって、拭いただけでは落ちないから・・・そういうことです。

寝床はフカフカの低反発クッションよりも、高反発のマットがいいです。
高反発マットは、人用製品だと、浅田真央さんがCMに出ていた”エアウィーヴ”のイメージ。
体圧分散といって、通常、硬い布団や低反発マットだと、でっぱりの部分に圧が集中してしまうのですが、高反発マットは体圧分散といって、出っ張ったところ以外の全体に圧が分散されるので、患部に血流が巡りやすくなる。栄養は血流によって、患部に運ばれますので、血がちゃんと巡ることは、傷を治すためには必須要素です。
コイル状になっていて、通気もいいので、蒸れる心配もなくなります。
店舗で扱っているのは、【アンベルソ】というメーカーと、【ユニ・チャーム】の獣医師専売品の高反発マットです。
ワンコの下に敷いてあるものは超重要!!です。まずはこれを改善しないと、治るものお治りません。

そして私が褥瘡に塗っているのは、『抗生剤の軟膏』ではなく、【オゾン化オイル】と、【キチンを材料にしたリキッド】です。
オゾン化オイルは、オリーブオイルをオゾンで反応させたもの。
これは、天然の抗菌作用・消炎作用を持ちながらも傷の修復力をUPさせてくれる優れもの。基剤がオリーブオイルなので舐めても安心でどこにでも使えます。
【キチン】とは、カニなどの甲殻類の殻に含まれている成分。
もともと保湿効果があったり傷の修復力を高める作用は医学的に認められているので、キチンを含んだガーゼなどは深い傷にあてるガーゼとして医療品になっているほど。
私は【マリンナノファイバー】という製品を使っているのですが、オゾン化オイルだけでは治りが遅いケーズに併用すると修復スピードがあがるので、好んで併用するようになりました。
あとは、傷口にくっつかないガーゼを覆って、適度な保湿と余分な体液の吸着をしておくこと。

これで、かなり良くなります。
私、褥瘡の患者さんを診たときは、本気でできるだけ早期で治すつもりで治療に当たっています。骨が出てしまっている場合は時間はかかりますが、諦めずにケアしていくと結構な確率でちゃんと皮膚が被るようになります。

上記でご紹介している製品は、全てネット通販ができない商品なのですが、医薬品ではないため、店舗で扱っています。
知多半島エリアでしたら往診で伺えますし、ちゃこーるぐれい店舗に来ていただくか、問い合わせしてもらえれば、スタッフはよくわかっているので、対応してくれると思います。

ただ、褥瘡を治すのに大切な条件。それは食欲です。
傷を治すのは自分自身の力=自然治癒力ですから、傷を治すための材料=栄養が入って来ないと、治りは遅くなります。
若い頃と同じようにとはいいませんが、それなりに栄養摂取ができるような工夫はしないといけません。ワンコが好んで食べれてくれるものを探すとか、こまめに給餌をしてあげるとか。
栄養バランスを考えすぎると、かえって必要なエネルギーを確保できないケースがありますので、適度に妥協してくださいネ。



高齢犬の便秘と”オリゴ糖”

往診獣医の私は、シニア犬とのご縁が多くなります。

その時のお悩みの一つ。
【便通が悪い】

便秘の原因っていろいろあるんですが、高齢犬の便秘の主な理由は
・腸の働きが悪くなる
・便を押し出す筋力が衰える
・食べ物を選り好みするようになり、食物繊維の摂取量が減る

活動的なシニアさんなら大丈夫なのですが、1日中寝ていたり、寝たきりに近い介護の状態になると、筋力が落ちて、踏ん張りきれないんですよね。
寝たきりになるとなおさら。寝たまま力んで排便って、実はとても難易度の高いことなんです。

そうすると、毎日排便しない、とか、出てくるうんちがカチカチのコロコロ便だったりとか。肛門出口に引っかかったようになって、なかなか出てこないとか。

お腹を温めたり、マッサージしたりすると出る場合もありますが、それでも出しにくい場合、簡単に試せるものがあります。

【オリゴ糖】

スーパーのお砂糖コーナーに売っている、あのオリゴ糖です。
リキッドタイプのものが使いやすいと思うのですが、普段食べているフードに、ちょっと一振り、混ぜてみてください。
そのくらいが適量かは、個人差があるので、心配でしたら少量からお試しを。

当たりがいい子だと、すぐにお通じがスムーズになります。

オリゴ糖は人や犬猫では消化できない糖分のため、そのまま大腸まで運ばれます。
そして大腸にいる腸内細菌のエサになるので、腸内環境が整います。
それにプラスして、浸透圧といって、腸管に水分を引きこむ作用も発揮してくれるので、便の水分が吸い取られず、便がカチカチになりにくくなるので、スムーズに排便できるようになります。

【食物繊維】
食べてくれれば、フードに食物繊維の多い、サツマイモなどのトッピング。
これも食物繊維の効果で腸の蠕動が促されるのと、便の保水力が高まるので、便がカチカチになりにくく、便通が良くなります。

あと、肛門の出口で出そうで出ない・・・って困っている場合は、肛門の両側を軽く指で押して、力んだ力が逃げないよう、サポートしてあげると卵が産まれるみたいに?コロンと便が出るようになります。

当店のオンラインショップに【NKDシロップ】という”ニゲロオリゴ糖”という製品があります。(現在取り扱いはございません。)

便通だけ考えれば、スーパーで売っている普通のオリゴ糖で良い気がしていますが、【ニゲロオリゴ糖】は通常のオリゴ糖と違って、免疫強化作用が認められているそうで、アレルギー体質が皮膚の痒みがあるワンコで、継続的に使用することで、痒みが軽減される場合があるのだとか。
免疫を調整してれるので、皮膚のトラブルだけでなく、日頃の健康維持にもいいですよね。
腸内環境を整えるって、消化管にとっても、全身の健康のためにも、とても大切です。

介護になったらお願いします・・

私は往診獣医なのですが、往診先以外で出会った方(診察に行ったペットショップでたまたま出会ったお客さまとか、私の往診の患者様のお友達とか)から言われる言葉があります。

『今はまだ大丈夫だけど、介護が必要になったらお願いするかも・・・』

たぶん、その方も軽くおっしゃっていると思うので私も軽く受け答えするのですが、心の中では(違うんだよ~!)って毎回思います。

【介護】という言葉から感じ取るイメージは人それぞれかもしれません。
寝たきりになってしまったり、そこまでいかなくても、老いて痩せてきて、歩行に介助が必要になったり、食事を食べることに配慮が必要になったり、病院への通院が大変になってきたり、、、そうなったら在宅でケアできればそれに越したことはない。

でも、私は寝たきりにならないよう、そうなる手前で声をかけてもらいたいな、と、寝たきりになって身体の自由が効かなくなった患者さんに初診で伺うと毎回そう思います。
(少なくとも私の持っている力量では)寝たきりになった子を、もう一度起こして歩けるようにしてあげることはできません。
でも、【食べているけど痩せてきた】、【踏ん張りが効かなくなってきた】、【立たせるのに補助が必要になってきた】・・まだペット自身で(なんとかしよう)という思いがある状態なら、できるサポートはうんと増えるんです。

食欲がある子なら、食事内容の見直しをすれば、16歳のシニアさんでも体重を増やしせる場合もあります。
踏ん張りが効かなくなってきたけど、自分で立ちたい意思がある、立たせるのに補助が必要だけど、立たせればなんとか自分で歩けるのであれば、サプリメントやケア用品を使い、筋力低下を最小限にするための食事の見直しなどを行うと、最後まで自分の足で歩ける場合もあります。

一般の人は、例えば踏ん張りが効かなくなったり、寝たきりになった場合でも、それ自体は【病気】ではないという捉え方になってしまうので、動物病院に行ったり、私を往診で呼んでもらうケースは少ないんですよね。
踏ん張りが効かなくなったことで転んで”足を痛めた”とか、寝たきりになって”床ずれができてしまった”となると、医療介入が必要と判断してそこで初めて獣医師の出番になるんですよね。
動物病院に連れて行くのはストレスもかかるし、待ち時間も長くて疲れてしまうし・・・とためらいがちになるのは充分に理解できます。
私とご縁がない方は、往診を呼ぶことも実は結構ハードルが高いのだということも理解しています。
だから、うちのお店、”ちゃこーるぐれい”を利用してほしいんだよなーって思います。


明らかに医療介入が必要な場合は、動物病院だと思いますが、”病院にいくほどでもないけど、、、”というお困りごとの場合、自分が患者様との経験を通して、役に立ったケア用品やサプリメントなどを置いています。
介護が必要になったから必要なものを探しに来ていただくのではなく、介護が必要になる前、若くて元気なうちから遊びに来てもらって、こんなものがあるんだということを、何となくでいいので覚えておいてもらうと、いざというときにきっと役に立つと思っています。

【加齢】は年を重ねいくこと。これは万人が同じように進んでいきます。
【老化】は加齢に伴い細胞や臓器の機能が衰えていくことですが、この衰え方には【生理的老化】と【病的老化】があり、いかにして【病的老化】の状態にもっていかないようにするかが大切なのです。

年老いてきたから痩せてくるのは仕方ない。
年老いてきたから筋力が落ちてくるのは仕方ない。
年老いてきたから寝たきりになるのは仕方ない。

そんなことはない。自分の経験上、それは断言できます。

もしかすると最後の最後に動けなくなる日が来るかもしれないけど、ケア次第でその時期はうんと伸ばしてあげることができるんですよ、ってこと、覚えておいてくださいネ。

シニアの脚力 簡単リハビリ

私は往診獣医なので、高齢になって寝たきりだったり、踏ん張りが効かなくなってきて困っているお宅に伺うことがあります。
正直、寝たきりで自力で立てない日が続いているワンコをもう一度起こして歩かせるようにすることは難しいかなと思っています。筋力の著しい衰えと、背骨が猫背のように湾曲してしまうので、支え立ちも難しくなってしまうためです。

でも、
なんとか歩くけど心配で目が離せない。
排便時に踏ん張りきれずに尻もちをついてしまう。
寝てる状態から起こすときに介助が必要だけど、起こせばなんとか歩ける。

このくらいのワンコなら、頑張ればもっとずっと歩き続けることができます。

私はリハビリの専門家ではないですが、専門じゃないからお伝えできる、難しく考えなくていいセルフケアです。

大切なのは床の素材の改善と、立たせる・歩かせるのリハビリをすること。

まずは床の素材。

今のお宅は大半がフローリング。
飼い主さんが思っている以上にワンコ達は滑っているんです。
ツルンツルンの床じゃなくても、人がすり足で歩けるくらいのところは充分に滑ります。
床に立たせると、足が外側にツーって広がっていきませんか?
立ったはいいけど、どの足から前に出そう・・・そんな感じで悩んでいたりしませんか?
寝起きで『よっこらしょ』がうまくできなくなっていませんか?

手軽に手に入れるのであれば、オススメしているのが【ヨガマット】。
ちょっとクッション性があって、クルクルっと丸められる、あれです。
ホームセンターやスポーツショップに売っています。

当店でも専用のすべり止めマットの販売しています。
グリップ力がすごいので、部屋の中をすり足で歩く人はグリップがかかってずっこけそうなくらいです(笑

ダイナグリップhttps://shop.charcoal-gray.com/?mode=srh&cid=&keyword=%A5%C0%A5%A4%A5%CA%A5%B0%A5%EA%A5%C3%A5%D7

いずれもお部屋全域に敷くのは現実的ではないので、ご飯を食べたりお水を飲んだりする場所に敷いてあげると、起立が安定してすごく楽そうになります。
あと、首を下まで下げると前足の負担が大きくなってバランスが取れなくなる子には、器を置く台(単行本を積み上げるだけでもOK)少し高いところに置いてあげると食べやすくなります。
ソファーの上り下りができる子はソファーの下に滑らない素材を敷いてあげると降りるときに滑らなくてとても楽です。足を痛めなくて済みます。

あと、ワンコの日常生活の動線部分・・例えば、寝床からトイレまでとか、お水を飲みに行くルートだけでもフローリングではなく、何か敷いてもらうとそこを選んで歩くようになります。
よくホームセンターで売っている、30cm四方の床に貼るだけでいいカーペットでもOKです。汚れたらその部分だけ替えることができます。

これらは早めにやってあげたほうが、足腰を痛めなくていいと思います。

そして簡単リハビリ。

補助なしで自力で歩ける子は、上記の対策のみでも充分だと思いますが、ちょっと介助が必要な場合は、ヨガマットだとちょっと滑るので、滑り止めマットか、家にあるものだと、裏がすべり止め加工になっている(裏全体にゴムみたいな素材がついている)キッチンマットとか玄関マットとかの裏をご用意(←これ、小型犬で一時のことなら意外と使えます)
お庭があれば、土の上や芝の上でもOK(コンクリートやアスファルトは結構滑りますし、滑ったときに足の皮膚を傷つけます)

まず、四つ足で起立させます。
この時のポイントは、床に対して足は直角になること。
折り畳み式のテーブルの脚を広げるイメージです。
ハの字に広がっていたり、内側を向ていたりするとテーブルは安定して立ちませんよね。
四つ足ともに正しく直角になる位置に置いてあげます。
で、ちょっとお腹を持ち上げて支えてもらえれば、やる気のある子なら立ちます。
(やる気が出ない子は、軽くポンポンとお尻を叩いたり、後ろ足をトントンと上下すると意外と立ちます)
ここで大切なのは、補助は最低限の力で行うこと。
人の両手の人差し指2本で身体のバランスをとって支えるくらいのイメージです。
身体を浮かせるほど支えると、足に体重を感じてもらえなくなります。
筋力は使わないと衰えます。体は賢いので仕事をしない臓器には栄養を分配してくれません。
体重(重力)を感じると、脚の筋肉がお仕事をすることになります。
お仕事をすると、(筋肉が仕事してるならちゃんと栄養回さなきゃ~)となり、筋力の衰えを防止できます。
そして、実は『立つ』という行為は脚だけの力ではなく、腹筋と背筋の力が必要。
支えすぎてしまうと、腹筋と背筋の仕事をさぼらせてしまいます。
やじろべえのバランスを取ってあげる感覚です。

まずは、これを1分でも3分でも5分でもいいから行うことです。
痩せてきているシニアの場合は無理しないようにしてくださいネ。

で、少し余裕ができたら”負荷”をかけます。

具体的には、自力て立っている状態で、ちょっとだけ体を右や左に揺らします。
体勢が崩れない程度にゆ~らゆ~ら、、、な感じでOK。

少し認知症気味のワンコはクルクル旋回していることが多く(主に右周り)、どうしても旋回している内側の方の足に負重がかかるので、外側になっている脚の筋力が落ちます。なので、そういう時は筋力の落ちている側に多めに揺らします。

1分でも3分でも5分でも。疲れない程度に。

これをやるだけでも、数日で歩き方が変わる場合があります。
滑っていたフローリングで滑らなくなったりします。ワンコのパワーってすごいって思います。

自分で歩けると嬉しいのか、あとは無理にリハビリしなくても自分せっせと歩くようになります。それ自体がリハビリになっていきますので、毎日やらなくても大丈夫になりますよ。

文章化するとわかりにくいかもしれませんが、お店にはお試し用にすべり止めマットがありますし、スタッフには上記のやり方を教えてありますので、足腰の衰えが気になりだしたワンコさんは、ぜひ一緒にお連れいただきお試しください。

筋力を落とさないための食生活やサプリメント、寝たきりになって褥瘡になったときの対処など、随時書いていこうと思いますが、まさに老化が現在進行形でコラムの更新を待っていられない場合は、お店に来てうちのスタッフに聞いてくださいネ。店舗スタッフの方が私より説明が丁寧です(^-^)

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