獣医師コラム

「介護」記事一覧

褥瘡の治し方


自然治癒力ってあるじゃないですか。
これって自身の身に降りかかった病を自身の力で治す力のこと。

わかりやすいのが【怪我をした】とき。
例えば転んで自分の膝をすりむいてしまったとき。
出血してもハンカチやティッシュで押さえていれば止まるし、汚れていれば洗って、そのまま放置しておけば、かさぶたができて気がついたら治っている。
これは、かさぶたの下で、傷ついた部分が新しい細胞を分裂・増殖させることで元どおりに修復していることですよね、当たり前ですが。
例えばこういう時に毎日消毒していると、治りが遅くなります。
消毒液って、細菌を殺菌するもの。
細菌だけではなく新しく作ろうとしている細胞の活動を阻害してしまうので、いじればいじるほど治りが遅くなります。治りかけのかさぶたを無理にはがすと治りが遅くなる・・・あの感じ。
だから、明らかに化膿を伴う可能性があるような外傷でなければ、清潔に保って、何かで覆っておけば(傷が浅ければそのまま放置でも)土台が健康な生き物なら勝手に治るんです。
よく、怪我した時に【抗生剤】の内服や外用を処方される場合があると思うのですが【抗生剤】って、【細菌を死滅させるもの】です。
【細菌を死滅させること】と、【傷を修復すること】って全然別物で、普通に考えればそうだよね!って思うのに、これがお医者さんでもわかっていないと思う。

私の母は、すねを怪我して病院へ行き、毎日消毒やらガーゼ交換を指示され、いうとおりにやっていても一向に治らずで。
娘の私が『もともと浮腫んでいる足なので巡りが悪いんだし、毎日いりじりすぎだから、ちょっと放っておけば』と言っても、私は医者じゃないから聞いてくれない(苦笑)。
挙句の果てに、【糖尿の兆しがあるんじゃないか】とか、【血流が悪いんじゃないか】とか、【静脈瘤があるんじゃないか】とか、いろいろ検査を重ねられ、特に悪いところがなく、なんとなーーく気づいたら治っていた、、、ということがありました。その間に行った検査代、保険とはいえもったいないよなーって思います。

お年寄りのワンコのトラブルと言えば、褥瘡。
老衰の流れで筋肉が落ちて痩せ衰え、寝たきり、もしくは寝たきりに近い状態になったときに、腰の出っ張っている骨の部分や、肩甲骨の出っ張った部分が地面に当たって皮膚が壊死してお肉や骨が露出してしまう状態です。
私は往診なので、褥瘡でかかりつけ医に行ったけど、継続での通院が負担になるのでと言う理由でお伺いすることがあります。
そういうとき、結構、抗生剤の軟膏を塗っている、イソジンで消毒している、というケースが多いです。
そんなことしても治りません・・・とは断言しないけど、治りがとても遅くなります。
正直、獣医師によっては、【褥瘡】=【もう治らないもの】と思ってるケースも多いのでは、と思います。少なくとも私は、勤務医時代、褥瘡の患者さんを診察すると意識の半分くらいはそう思っていましたから。
だから軟膏だして終わりにしちゃう。

今は違います、褥瘡は治ります。

まずは傷口を清潔にします。
患部に毛が被るようなら毛刈りをします。毛がクッションになるのでは、、、と言う人もいますが、褥瘡は漿液が沢山でるので、その液が毛に付着したままだと汚染されますから、細胞の修復を妨げます。
体液が患部の周りの皮膚に付着したままだと、健康な皮膚の部分も荒れてきますから、毎日清潔に保つことが必要、優しくぬるま湯で洗ってください。
お風呂場などで洗うのが大変な場合は、霧吹きにぬるま湯をいれて、べちゃべちゃになるくらい、濡らしてもらい、タオルで拭く・・を2度3度繰り返せば、”洗う”に近い形になります。
ウェットティッシュはNGですよ。意味がないです。
自分の患者さんにはよく話すのですが、【体液って、おしっこと同じと思ってください。犬のおしっこが手に付いたとき、ウェットティッシュで拭いておしまいにしますか?】。
絶対しないですよね、洗面所に洗いに行きますよね。なぜかって、拭いただけでは落ちないから・・・そういうことです。

寝床はフカフカの低反発クッションよりも、高反発のマットがいいです。
高反発マットは、人用製品だと、浅田真央さんがCMに出ていた”エアウィーヴ”のイメージ。
体圧分散といって、通常、硬い布団や低反発マットだと、でっぱりの部分に圧が集中してしまうのですが、高反発マットは体圧分散といって、出っ張ったところ以外の全体に圧が分散されるので、患部に血流が巡りやすくなる。栄養は血流によって、患部に運ばれますので、血がちゃんと巡ることは、傷を治すためには必須要素です。
コイル状になっていて、通気もいいので、蒸れる心配もなくなります。
店舗で扱っているのは、【アンベルソ】というメーカーと、【ユニ・チャーム】の獣医師専売品の高反発マットです。
ワンコの下に敷いてあるものは超重要!!です。まずはこれを改善しないと、治るものお治りません。

そして私が褥瘡に塗っているのは、『抗生剤の軟膏』ではなく、【オゾン化オイル】と、【キチンを材料にしたリキッド】です。
オゾン化オイルは、オリーブオイルをオゾンで反応させたもの。
これは、天然の抗菌作用・消炎作用を持ちながらも傷の修復力をUPさせてくれる優れもの。基剤がオリーブオイルなので舐めても安心でどこにでも使えます。
【キチン】とは、カニなどの甲殻類の殻に含まれている成分。
もともと保湿効果があったり傷の修復力を高める作用は医学的に認められているので、キチンを含んだガーゼなどは深い傷にあてるガーゼとして医療品になっているほど。
私は【マリンナノファイバー】という製品を使っているのですが、オゾン化オイルだけでは治りが遅いケーズに併用すると修復スピードがあがるので、好んで併用するようになりました。
あとは、傷口にくっつかないガーゼを覆って、適度な保湿と余分な体液の吸着をしておくこと。

これで、かなり良くなります。
私、褥瘡の患者さんを診たときは、本気でできるだけ早期で治すつもりで治療に当たっています。骨が出てしまっている場合は時間はかかりますが、諦めずにケアしていくと結構な確率でちゃんと皮膚が被るようになります。

上記でご紹介している製品は、全てネット通販ができない商品なのですが、医薬品ではないため、店舗で扱っています。
知多半島エリアでしたら往診で伺えますし、ちゃこーるぐれい店舗に来ていただくか、問い合わせしてもらえれば、スタッフはよくわかっているので、対応してくれると思います。

ただ、褥瘡を治すのに大切な条件。それは食欲です。
傷を治すのは自分自身の力=自然治癒力ですから、傷を治すための材料=栄養が入って来ないと、治りは遅くなります。
若い頃と同じようにとはいいませんが、それなりに栄養摂取ができるような工夫はしないといけません。ワンコが好んで食べれてくれるものを探すとか、こまめに給餌をしてあげるとか。
栄養バランスを考えすぎると、かえって必要なエネルギーを確保できないケースがありますので、適度に妥協してくださいネ。



高齢犬の便秘と”オリゴ糖”

往診獣医の私は、シニア犬とのご縁が多くなります。

その時のお悩みの一つ。
【便通が悪い】

便秘の原因っていろいろあるんですが、高齢犬の便秘の主な理由は
・腸の働きが悪くなる
・便を押し出す筋力が衰える
・食べ物を選り好みするようになり、食物繊維の摂取量が減る

活動的なシニアさんなら大丈夫なのですが、1日中寝ていたり、寝たきりに近い介護の状態になると、筋力が落ちて、踏ん張りきれないんですよね。
寝たきりになるとなおさら。寝たまま力んで排便って、実はとても難易度の高いことなんです。

そうすると、毎日排便しない、とか、出てくるうんちがカチカチのコロコロ便だったりとか。肛門出口に引っかかったようになって、なかなか出てこないとか。

お腹を温めたり、マッサージしたりすると出る場合もありますが、それでも出しにくい場合、簡単に試せるものがあります。

【オリゴ糖】

スーパーのお砂糖コーナーに売っている、あのオリゴ糖です。
リキッドタイプのものが使いやすいと思うのですが、普段食べているフードに、ちょっと一振り、混ぜてみてください。
そのくらいが適量かは、個人差があるので、心配でしたら少量からお試しを。

当たりがいい子だと、すぐにお通じがスムーズになります。

オリゴ糖は人や犬猫では消化できない糖分のため、そのまま大腸まで運ばれます。
そして大腸にいる腸内細菌のエサになるので、腸内環境が整います。
それにプラスして、浸透圧といって、腸管に水分を引きこむ作用も発揮してくれるので、便の水分が吸い取られず、便がカチカチになりにくくなるので、スムーズに排便できるようになります。

【食物繊維】
食べてくれれば、フードに食物繊維の多い、サツマイモなどのトッピング。
これも食物繊維の効果で腸の蠕動が促されるのと、便の保水力が高まるので、便がカチカチになりにくく、便通が良くなります。

あと、肛門の出口で出そうで出ない・・・って困っている場合は、肛門の両側を軽く指で押して、力んだ力が逃げないよう、サポートしてあげると卵が産まれるみたいに?コロンと便が出るようになります。

当店のオンラインショップに【NKDシロップ】という”ニゲロオリゴ糖”という製品があります。(現在取り扱いはございません。)

便通だけ考えれば、スーパーで売っている普通のオリゴ糖で良い気がしていますが、【ニゲロオリゴ糖】は通常のオリゴ糖と違って、免疫強化作用が認められているそうで、アレルギー体質が皮膚の痒みがあるワンコで、継続的に使用することで、痒みが軽減される場合があるのだとか。
免疫を調整してれるので、皮膚のトラブルだけでなく、日頃の健康維持にもいいですよね。
腸内環境を整えるって、消化管にとっても、全身の健康のためにも、とても大切です。

介護になったらお願いします・・

私は往診獣医なのですが、往診先以外で出会った方(診察に行ったペットショップでたまたま出会ったお客さまとか、私の往診の患者様のお友達とか)から言われる言葉があります。

『今はまだ大丈夫だけど、介護が必要になったらお願いするかも・・・』

たぶん、その方も軽くおっしゃっていると思うので私も軽く受け答えするのですが、心の中では(違うんだよ~!)って毎回思います。

【介護】という言葉から感じ取るイメージは人それぞれかもしれません。
寝たきりになってしまったり、そこまでいかなくても、老いて痩せてきて、歩行に介助が必要になったり、食事を食べることに配慮が必要になったり、病院への通院が大変になってきたり、、、そうなったら在宅でケアできればそれに越したことはない。

でも、私は寝たきりにならないよう、そうなる手前で声をかけてもらいたいな、と、寝たきりになって身体の自由が効かなくなった患者さんに初診で伺うと毎回そう思います。
(少なくとも私の持っている力量では)寝たきりになった子を、もう一度起こして歩けるようにしてあげることはできません。
でも、【食べているけど痩せてきた】、【踏ん張りが効かなくなってきた】、【立たせるのに補助が必要になってきた】・・まだペット自身で(なんとかしよう)という思いがある状態なら、できるサポートはうんと増えるんです。

食欲がある子なら、食事内容の見直しをすれば、16歳のシニアさんでも体重を増やしせる場合もあります。
踏ん張りが効かなくなってきたけど、自分で立ちたい意思がある、立たせるのに補助が必要だけど、立たせればなんとか自分で歩けるのであれば、サプリメントやケア用品を使い、筋力低下を最小限にするための食事の見直しなどを行うと、最後まで自分の足で歩ける場合もあります。

一般の人は、例えば踏ん張りが効かなくなったり、寝たきりになった場合でも、それ自体は【病気】ではないという捉え方になってしまうので、動物病院に行ったり、私を往診で呼んでもらうケースは少ないんですよね。
踏ん張りが効かなくなったことで転んで”足を痛めた”とか、寝たきりになって”床ずれができてしまった”となると、医療介入が必要と判断してそこで初めて獣医師の出番になるんですよね。
動物病院に連れて行くのはストレスもかかるし、待ち時間も長くて疲れてしまうし・・・とためらいがちになるのは充分に理解できます。
私とご縁がない方は、往診を呼ぶことも実は結構ハードルが高いのだということも理解しています。
だから、うちのお店、”ちゃこーるぐれい”を利用してほしいんだよなーって思います。


明らかに医療介入が必要な場合は、動物病院だと思いますが、”病院にいくほどでもないけど、、、”というお困りごとの場合、自分が患者様との経験を通して、役に立ったケア用品やサプリメントなどを置いています。
介護が必要になったから必要なものを探しに来ていただくのではなく、介護が必要になる前、若くて元気なうちから遊びに来てもらって、こんなものがあるんだということを、何となくでいいので覚えておいてもらうと、いざというときにきっと役に立つと思っています。

【加齢】は年を重ねいくこと。これは万人が同じように進んでいきます。
【老化】は加齢に伴い細胞や臓器の機能が衰えていくことですが、この衰え方には【生理的老化】と【病的老化】があり、いかにして【病的老化】の状態にもっていかないようにするかが大切なのです。

年老いてきたから痩せてくるのは仕方ない。
年老いてきたから筋力が落ちてくるのは仕方ない。
年老いてきたから寝たきりになるのは仕方ない。

そんなことはない。自分の経験上、それは断言できます。

もしかすると最後の最後に動けなくなる日が来るかもしれないけど、ケア次第でその時期はうんと伸ばしてあげることができるんですよ、ってこと、覚えておいてくださいネ。

シニアの脚力 簡単リハビリ

私は往診獣医なので、高齢になって寝たきりだったり、踏ん張りが効かなくなってきて困っているお宅に伺うことがあります。
正直、寝たきりで自力で立てない日が続いているワンコをもう一度起こして歩かせるようにすることは難しいかなと思っています。筋力の著しい衰えと、背骨が猫背のように湾曲してしまうので、支え立ちも難しくなってしまうためです。

でも、
なんとか歩くけど心配で目が離せない。
排便時に踏ん張りきれずに尻もちをついてしまう。
寝てる状態から起こすときに介助が必要だけど、起こせばなんとか歩ける。

このくらいのワンコなら、頑張ればもっとずっと歩き続けることができます。

私はリハビリの専門家ではないですが、専門じゃないからお伝えできる、難しく考えなくていいセルフケアです。

大切なのは床の素材の改善と、立たせる・歩かせるのリハビリをすること。

まずは床の素材。

今のお宅は大半がフローリング。
飼い主さんが思っている以上にワンコ達は滑っているんです。
ツルンツルンの床じゃなくても、人がすり足で歩けるくらいのところは充分に滑ります。
床に立たせると、足が外側にツーって広がっていきませんか?
立ったはいいけど、どの足から前に出そう・・・そんな感じで悩んでいたりしませんか?
寝起きで『よっこらしょ』がうまくできなくなっていませんか?

手軽に手に入れるのであれば、オススメしているのが【ヨガマット】。
ちょっとクッション性があって、クルクルっと丸められる、あれです。
ホームセンターやスポーツショップに売っています。

当店でも専用のすべり止めマットの販売しています。
グリップ力がすごいので、部屋の中をすり足で歩く人はグリップがかかってずっこけそうなくらいです(笑

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いずれもお部屋全域に敷くのは現実的ではないので、ご飯を食べたりお水を飲んだりする場所に敷いてあげると、起立が安定してすごく楽そうになります。
あと、首を下まで下げると前足の負担が大きくなってバランスが取れなくなる子には、器を置く台(単行本を積み上げるだけでもOK)少し高いところに置いてあげると食べやすくなります。
ソファーの上り下りができる子はソファーの下に滑らない素材を敷いてあげると降りるときに滑らなくてとても楽です。足を痛めなくて済みます。

あと、ワンコの日常生活の動線部分・・例えば、寝床からトイレまでとか、お水を飲みに行くルートだけでもフローリングではなく、何か敷いてもらうとそこを選んで歩くようになります。
よくホームセンターで売っている、30cm四方の床に貼るだけでいいカーペットでもOKです。汚れたらその部分だけ替えることができます。

これらは早めにやってあげたほうが、足腰を痛めなくていいと思います。

そして簡単リハビリ。

補助なしで自力で歩ける子は、上記の対策のみでも充分だと思いますが、ちょっと介助が必要な場合は、ヨガマットだとちょっと滑るので、滑り止めマットか、家にあるものだと、裏がすべり止め加工になっている(裏全体にゴムみたいな素材がついている)キッチンマットとか玄関マットとかの裏をご用意(←これ、小型犬で一時のことなら意外と使えます)
お庭があれば、土の上や芝の上でもOK(コンクリートやアスファルトは結構滑りますし、滑ったときに足の皮膚を傷つけます)

まず、四つ足で起立させます。
この時のポイントは、床に対して足は直角になること。
折り畳み式のテーブルの脚を広げるイメージです。
ハの字に広がっていたり、内側を向ていたりするとテーブルは安定して立ちませんよね。
四つ足ともに正しく直角になる位置に置いてあげます。
で、ちょっとお腹を持ち上げて支えてもらえれば、やる気のある子なら立ちます。
(やる気が出ない子は、軽くポンポンとお尻を叩いたり、後ろ足をトントンと上下すると意外と立ちます)
ここで大切なのは、補助は最低限の力で行うこと。
人の両手の人差し指2本で身体のバランスをとって支えるくらいのイメージです。
身体を浮かせるほど支えると、足に体重を感じてもらえなくなります。
筋力は使わないと衰えます。体は賢いので仕事をしない臓器には栄養を分配してくれません。
体重(重力)を感じると、脚の筋肉がお仕事をすることになります。
お仕事をすると、(筋肉が仕事してるならちゃんと栄養回さなきゃ~)となり、筋力の衰えを防止できます。
そして、実は『立つ』という行為は脚だけの力ではなく、腹筋と背筋の力が必要。
支えすぎてしまうと、腹筋と背筋の仕事をさぼらせてしまいます。
やじろべえのバランスを取ってあげる感覚です。

まずは、これを1分でも3分でも5分でもいいから行うことです。
痩せてきているシニアの場合は無理しないようにしてくださいネ。

で、少し余裕ができたら”負荷”をかけます。

具体的には、自力て立っている状態で、ちょっとだけ体を右や左に揺らします。
体勢が崩れない程度にゆ~らゆ~ら、、、な感じでOK。

少し認知症気味のワンコはクルクル旋回していることが多く(主に右周り)、どうしても旋回している内側の方の足に負重がかかるので、外側になっている脚の筋力が落ちます。なので、そういう時は筋力の落ちている側に多めに揺らします。

1分でも3分でも5分でも。疲れない程度に。

これをやるだけでも、数日で歩き方が変わる場合があります。
滑っていたフローリングで滑らなくなったりします。ワンコのパワーってすごいって思います。

自分で歩けると嬉しいのか、あとは無理にリハビリしなくても自分せっせと歩くようになります。それ自体がリハビリになっていきますので、毎日やらなくても大丈夫になりますよ。

文章化するとわかりにくいかもしれませんが、お店にはお試し用にすべり止めマットがありますし、スタッフには上記のやり方を教えてありますので、足腰の衰えが気になりだしたワンコさんは、ぜひ一緒にお連れいただきお試しください。

筋力を落とさないための食生活やサプリメント、寝たきりになって褥瘡になったときの対処など、随時書いていこうと思いますが、まさに老化が現在進行形でコラムの更新を待っていられない場合は、お店に来てうちのスタッフに聞いてくださいネ。店舗スタッフの方が私より説明が丁寧です(^-^)

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寝たきりワンコのベッド

私は往診獣医なので、ハイシニア期で介護が必要なワンコの往診に伺うことが多々あります。

自力で立てなくなった・・・いわゆる寝たきりのワンコさん。

大抵のお宅では、そういったワンコさんに敷かれている寝床は、毛布を重ねたものか、使ってない敷布団か、反対に低反発の柔らかいベッド。

毛布を2枚くらい重ねただけでは、床の硬さをダイレクトに受けるので、骨盤や肩の部分が直接床に当たって褥瘡、、いわゆる床ずれのリスクが上がります。
普通の敷布団ではやはり硬いので同じように床ずれのリスク大。

低反発ベッドの場合は、飼い主さんが【痛くならないように】【床ずれができないように】との配慮なのですが、実は寝たきりワンコはふかふかの低反発ベッドはあまり良くないのです。
(こんなことをいう私も、数年前までは寝たきりワンコには低反発マットだと思ってたんですよね。)

実は寝たきりワンコには高反発ベッド。

小型犬の場合は抱っこしたり向きを変えたりする頻度が自然を多くなるので、とりあえずはどちらでも大丈夫かな、と思いますが、中型犬以上では、間違いなく高反発ベッドのほうがその後の経過が良いと思います。

低反発だと沈み込みが強くて、寝返りが打てない。寝返りまでいかなくても、寝る位置を自力でずらしたりすることも難しい。
ビッグサイズのビーズクッションの上に寝て、向きを変えたり起き上がろうとするきに一苦労するのと同じ感覚です。
寝返りも打てないし、ちょっと体を動かしたくても自由が効かないので、(困った困った)となって鳴いて飼い主を呼ぶ・・・飼い主寝られなくなる、、、みたいな。【床ずれが心配で・・・】という配慮なのですが、意外に体圧分散が悪いんです。そして低反発は下になる側の通気が悪すぎるのでとても蒸れます。
排泄がうまくできなくなると寝たきりの粗相も増えますので、おむつやシートを敷いてもどうしても床面の側が汚れてしまいます。
で、皮膚が荒れやすくなるので傷みやすい。

高反発マットは、人用でいうとエアウィーヴみたいな感じです。ファイバーでできた硬めのクッション。一見すると固くて寝心地が悪そうな感じなのですが、これに変更してもらうと、介護の場面がかなり楽になります。

まず、床ずれが改善します。
ワンコは痩せてくると骨盤と肩甲骨の部分の骨が浮いてきます。そこが直接地面に当たるので、血行不良になってある日突然皮膚の皮がベロンと向け、お肉がむき出しになります(痛々しい表現ですが、飼い主の実感として”ある日突然”は事実です)。

高反発マットは体圧分散といって、床部分の当たるところへの荷重が一か所に集中せず全体に分散されるので、出っ張っているところが痛い・・ということがなくなります。

そして高反発は寝返りやちょっと寝る位置をずらす、という行為を行いやすくなります。ちょっと踏み込むと跳ね返りが強いので動きやすいんです。

通常、褥瘡って治ることが難しいのですが、ベッドを変えるだけで良くなっていくことは多いです。皮膚が向けてしまう手前ならばそのまま落ち着いて元どおりになります。ラブラドールなどの大型犬でも充分にケアは可能です。

日常生活に【介助】や【介護】が必要になった場合、これって病気ではないので獣医に診てもらうという意識になかなかならないのか、実際に往診で呼ばれるのは皮膚に穴があいた【褥瘡】の状態になってから・・・なんですよね。

褥瘡になってからだと、治療の時間も手間もうんとかかってしまうので、(もう少し早く声をかけてもらえれば・・・)と思うこともしばしばです。

店舗には2種類の高反発ベッドのご用意があります。実際にお手に触れて確認することができます。ペットを連れてきてもらえれば実際に寝てもらうこともできます。

アンベルソ ロイヤルベッド http://www.anberso.jp/
ペット用のベッドとしては最高級のマットだと思います。
高反発素材と低反発素材のシートを組み合わせた3重構造で、緻密に計算された体圧分散と、身体に当たる面は薄い低反発で寝心地は抜群。
もともと【健康は質のよい睡眠から】と、健康で若いペット達のことを考えた日常使いのベッドなので、ベットカバーもデザインが豊富で、マット含めて全てのパーツが簡単に洗えるので、1回購入すれば非常に長い期間使うことができます。

ユニ・チャーム ペットPro https://pet.unicharm.co.jp/pro/index.html
動物病院専売品の高反発素材の介護マットです。
介護用に設計されているためシンプルですが、マットもカバーも洗いやすい構造です。
アンベルソさんのマットよりも薄手ですが、使い勝手はいいと思います。

そして、【寝たきり】になってしまうと起こして歩けるようにすることはとても難しくなります。
ぜひとも寝たきりになる手前の【筋力が落ちて痩せてきた】【踏ん張りが効かなくなってきた】【覇気がなくなって寝てばかりいるようになってきた】など、まだ自力で歩ける、移動ができる、自力で排泄ができるうちに対策を。
【生活環境の改善】【食事の見直し】【サプリメントなどの利用】といったプラスアルファのサポートをしてあげると、最後まで”自分のことは自分でできる”生活ができるようにもなるんですよ、ホントに。

介護は病気じゃないから・・と、動物病院への来院のハードルが高い場合は、ぜひ、ちゃこーるぐれいに遊びに来てもらって気軽に相談してくださいネ。
ベッドだけでなく、介護・介助全般のご相談も承ります。
基本的に獣医師である私はいませんが、自分の経験や介助や介護のコツは、日々スタッフに伝えていますので、店舗スタッフが丁寧に説明してくれますよ。

当店で快適なペットのシニアライフのお手伝いが出来たらな、と思っています。

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