寝たきりワンコのベッド
私は往診獣医なので、ハイシニア期で介護が必要なワンコの往診に伺うことが多々あります。
自力で立てなくなった・・・いわゆる寝たきりのワンコさん。
大抵のお宅では、そういったワンコさんに敷かれている寝床は、毛布を重ねたものか、使ってない敷布団か、反対に低反発の柔らかいベッド。
毛布を2枚くらい重ねただけでは、床の硬さをダイレクトに受けるので、骨盤や肩の部分が直接床に当たって褥瘡、、いわゆる床ずれのリスクが上がります。
普通の敷布団ではやはり硬いので同じように床ずれのリスク大。
低反発ベッドの場合は、飼い主さんが【痛くならないように】【床ずれができないように】との配慮なのですが、実は寝たきりワンコはふかふかの低反発ベッドはあまり良くないのです。
(こんなことをいう私も、数年前までは寝たきりワンコには低反発マットだと思ってたんですよね。)
実は寝たきりワンコには高反発ベッド。
小型犬の場合は抱っこしたり向きを変えたりする頻度が自然を多くなるので、とりあえずはどちらでも大丈夫かな、と思いますが、中型犬以上では、間違いなく高反発ベッドのほうがその後の経過が良いと思います。
低反発だと沈み込みが強くて、寝返りが打てない。寝返りまでいかなくても、寝る位置を自力でずらしたりすることも難しい。
ビッグサイズのビーズクッションの上に寝て、向きを変えたり起き上がろうとするきに一苦労するのと同じ感覚です。
寝返りも打てないし、ちょっと体を動かしたくても自由が効かないので、(困った困った)となって鳴いて飼い主を呼ぶ・・・飼い主寝られなくなる、、、みたいな。【床ずれが心配で・・・】という配慮なのですが、意外に体圧分散が悪いんです。そして低反発は下になる側の通気が悪すぎるのでとても蒸れます。
排泄がうまくできなくなると寝たきりの粗相も増えますので、おむつやシートを敷いてもどうしても床面の側が汚れてしまいます。
で、皮膚が荒れやすくなるので傷みやすい。
高反発マットは、人用でいうとエアウィーヴみたいな感じです。ファイバーでできた硬めのクッション。一見すると固くて寝心地が悪そうな感じなのですが、これに変更してもらうと、介護の場面がかなり楽になります。
まず、床ずれが改善します。
ワンコは痩せてくると骨盤と肩甲骨の部分の骨が浮いてきます。そこが直接地面に当たるので、血行不良になってある日突然皮膚の皮がベロンと向け、お肉がむき出しになります(痛々しい表現ですが、飼い主の実感として”ある日突然”は事実です)。
高反発マットは体圧分散といって、床部分の当たるところへの荷重が一か所に集中せず全体に分散されるので、出っ張っているところが痛い・・ということがなくなります。
そして高反発は寝返りやちょっと寝る位置をずらす、という行為を行いやすくなります。ちょっと踏み込むと跳ね返りが強いので動きやすいんです。
通常、褥瘡って治ることが難しいのですが、ベッドを変えるだけで良くなっていくことは多いです。皮膚が向けてしまう手前ならばそのまま落ち着いて元どおりになります。ラブラドールなどの大型犬でも充分にケアは可能です。
日常生活に【介助】や【介護】が必要になった場合、これって病気ではないので獣医に診てもらうという意識になかなかならないのか、実際に往診で呼ばれるのは皮膚に穴があいた【褥瘡】の状態になってから・・・なんですよね。
褥瘡になってからだと、治療の時間も手間もうんとかかってしまうので、(もう少し早く声をかけてもらえれば・・・)と思うこともしばしばです。
店舗には2種類の高反発ベッドのご用意があります。実際にお手に触れて確認することができます。ペットを連れてきてもらえれば実際に寝てもらうこともできます。
アンベルソ ロイヤルベッド http://www.anberso.jp/
ペット用のベッドとしては最高級のマットだと思います。
高反発素材と低反発素材のシートを組み合わせた3重構造で、緻密に計算された体圧分散と、身体に当たる面は薄い低反発で寝心地は抜群。
もともと【健康は質のよい睡眠から】と、健康で若いペット達のことを考えた日常使いのベッドなので、ベットカバーもデザインが豊富で、マット含めて全てのパーツが簡単に洗えるので、1回購入すれば非常に長い期間使うことができます。
ユニ・チャーム ペットPro https://pet.unicharm.co.jp/pro/index.html
動物病院専売品の高反発素材の介護マットです。
介護用に設計されているためシンプルですが、マットもカバーも洗いやすい構造です。
アンベルソさんのマットよりも薄手ですが、使い勝手はいいと思います。
そして、【寝たきり】になってしまうと起こして歩けるようにすることはとても難しくなります。
ぜひとも寝たきりになる手前の【筋力が落ちて痩せてきた】【踏ん張りが効かなくなってきた】【覇気がなくなって寝てばかりいるようになってきた】など、まだ自力で歩ける、移動ができる、自力で排泄ができるうちに対策を。
【生活環境の改善】【食事の見直し】【サプリメントなどの利用】といったプラスアルファのサポートをしてあげると、最後まで”自分のことは自分でできる”生活ができるようにもなるんですよ、ホントに。
介護は病気じゃないから・・と、動物病院への来院のハードルが高い場合は、ぜひ、ちゃこーるぐれいに遊びに来てもらって気軽に相談してくださいネ。
ベッドだけでなく、介護・介助全般のご相談も承ります。
基本的に獣医師である私はいませんが、自分の経験や介助や介護のコツは、日々スタッフに伝えていますので、店舗スタッフが丁寧に説明してくれますよ。
当店で快適なペットのシニアライフのお手伝いが出来たらな、と思っています。