獣医師コラム

褥瘡の治し方


自然治癒力ってあるじゃないですか。
これって自身の身に降りかかった病を自身の力で治す力のこと。

わかりやすいのが【怪我をした】とき。
例えば転んで自分の膝をすりむいてしまったとき。
出血してもハンカチやティッシュで押さえていれば止まるし、汚れていれば洗って、そのまま放置しておけば、かさぶたができて気がついたら治っている。
これは、かさぶたの下で、傷ついた部分が新しい細胞を分裂・増殖させることで元どおりに修復していることですよね、当たり前ですが。
例えばこういう時に毎日消毒していると、治りが遅くなります。
消毒液って、細菌を殺菌するもの。
細菌だけではなく新しく作ろうとしている細胞の活動を阻害してしまうので、いじればいじるほど治りが遅くなります。治りかけのかさぶたを無理にはがすと治りが遅くなる・・・あの感じ。
だから、明らかに化膿を伴う可能性があるような外傷でなければ、清潔に保って、何かで覆っておけば(傷が浅ければそのまま放置でも)土台が健康な生き物なら勝手に治るんです。
よく、怪我した時に【抗生剤】の内服や外用を処方される場合があると思うのですが【抗生剤】って、【細菌を死滅させるもの】です。
【細菌を死滅させること】と、【傷を修復すること】って全然別物で、普通に考えればそうだよね!って思うのに、これがお医者さんでもわかっていないと思う。

私の母は、すねを怪我して病院へ行き、毎日消毒やらガーゼ交換を指示され、いうとおりにやっていても一向に治らずで。
娘の私が『もともと浮腫んでいる足なので巡りが悪いんだし、毎日いりじりすぎだから、ちょっと放っておけば』と言っても、私は医者じゃないから聞いてくれない(苦笑)。
挙句の果てに、【糖尿の兆しがあるんじゃないか】とか、【血流が悪いんじゃないか】とか、【静脈瘤があるんじゃないか】とか、いろいろ検査を重ねられ、特に悪いところがなく、なんとなーーく気づいたら治っていた、、、ということがありました。その間に行った検査代、保険とはいえもったいないよなーって思います。

お年寄りのワンコのトラブルと言えば、褥瘡。
老衰の流れで筋肉が落ちて痩せ衰え、寝たきり、もしくは寝たきりに近い状態になったときに、腰の出っ張っている骨の部分や、肩甲骨の出っ張った部分が地面に当たって皮膚が壊死してお肉や骨が露出してしまう状態です。
私は往診なので、褥瘡でかかりつけ医に行ったけど、継続での通院が負担になるのでと言う理由でお伺いすることがあります。
そういうとき、結構、抗生剤の軟膏を塗っている、イソジンで消毒している、というケースが多いです。
そんなことしても治りません・・・とは断言しないけど、治りがとても遅くなります。
正直、獣医師によっては、【褥瘡】=【もう治らないもの】と思ってるケースも多いのでは、と思います。少なくとも私は、勤務医時代、褥瘡の患者さんを診察すると意識の半分くらいはそう思っていましたから。
だから軟膏だして終わりにしちゃう。

今は違います、褥瘡は治ります。

まずは傷口を清潔にします。
患部に毛が被るようなら毛刈りをします。毛がクッションになるのでは、、、と言う人もいますが、褥瘡は漿液が沢山でるので、その液が毛に付着したままだと汚染されますから、細胞の修復を妨げます。
体液が患部の周りの皮膚に付着したままだと、健康な皮膚の部分も荒れてきますから、毎日清潔に保つことが必要、優しくぬるま湯で洗ってください。
お風呂場などで洗うのが大変な場合は、霧吹きにぬるま湯をいれて、べちゃべちゃになるくらい、濡らしてもらい、タオルで拭く・・を2度3度繰り返せば、”洗う”に近い形になります。
ウェットティッシュはNGですよ。意味がないです。
自分の患者さんにはよく話すのですが、【体液って、おしっこと同じと思ってください。犬のおしっこが手に付いたとき、ウェットティッシュで拭いておしまいにしますか?】。
絶対しないですよね、洗面所に洗いに行きますよね。なぜかって、拭いただけでは落ちないから・・・そういうことです。

寝床はフカフカの低反発クッションよりも、高反発のマットがいいです。
高反発マットは、人用製品だと、浅田真央さんがCMに出ていた”エアウィーヴ”のイメージ。
体圧分散といって、通常、硬い布団や低反発マットだと、でっぱりの部分に圧が集中してしまうのですが、高反発マットは体圧分散といって、出っ張ったところ以外の全体に圧が分散されるので、患部に血流が巡りやすくなる。栄養は血流によって、患部に運ばれますので、血がちゃんと巡ることは、傷を治すためには必須要素です。
コイル状になっていて、通気もいいので、蒸れる心配もなくなります。
店舗で扱っているのは、【アンベルソ】というメーカーと、【ユニ・チャーム】の獣医師専売品の高反発マットです。
ワンコの下に敷いてあるものは超重要!!です。まずはこれを改善しないと、治るものお治りません。

そして私が褥瘡に塗っているのは、『抗生剤の軟膏』ではなく、【オゾン化オイル】と、【キチンを材料にしたリキッド】です。
オゾン化オイルは、オリーブオイルをオゾンで反応させたもの。
これは、天然の抗菌作用・消炎作用を持ちながらも傷の修復力をUPさせてくれる優れもの。基剤がオリーブオイルなので舐めても安心でどこにでも使えます。
【キチン】とは、カニなどの甲殻類の殻に含まれている成分。
もともと保湿効果があったり傷の修復力を高める作用は医学的に認められているので、キチンを含んだガーゼなどは深い傷にあてるガーゼとして医療品になっているほど。
私は【マリンナノファイバー】という製品を使っているのですが、オゾン化オイルだけでは治りが遅いケーズに併用すると修復スピードがあがるので、好んで併用するようになりました。
あとは、傷口にくっつかないガーゼを覆って、適度な保湿と余分な体液の吸着をしておくこと。

これで、かなり良くなります。
私、褥瘡の患者さんを診たときは、本気でできるだけ早期で治すつもりで治療に当たっています。骨が出てしまっている場合は時間はかかりますが、諦めずにケアしていくと結構な確率でちゃんと皮膚が被るようになります。

上記でご紹介している製品は、全てネット通販ができない商品なのですが、医薬品ではないため、店舗で扱っています。
知多半島エリアでしたら往診で伺えますし、ちゃこーるぐれい店舗に来ていただくか、問い合わせしてもらえれば、スタッフはよくわかっているので、対応してくれると思います。

ただ、褥瘡を治すのに大切な条件。それは食欲です。
傷を治すのは自分自身の力=自然治癒力ですから、傷を治すための材料=栄養が入って来ないと、治りは遅くなります。
若い頃と同じようにとはいいませんが、それなりに栄養摂取ができるような工夫はしないといけません。ワンコが好んで食べれてくれるものを探すとか、こまめに給餌をしてあげるとか。
栄養バランスを考えすぎると、かえって必要なエネルギーを確保できないケースがありますので、適度に妥協してくださいネ。



ちゃこーるぐれいオンラインショップ

店舗で人気の商品を中心にオンラインでも販売中です。
今イチオシのおすすめアイテムをご紹介しています!

  • ペット用 テラケアブラシ
    19,800

    世界初!ペット用テラケアブラシ。 ワンちゃんもネコちゃんも、超小型犬~大型犬まで。どんな種類の子も大丈夫!

  • STEP EQT 歩けるくん
    8,800~

    着けるだけで体幹を安定。ふらつきや転倒予防、柔軟性アップが期待できます。XS~Lサイズ。(Lサイズは9,350円)人用の製品も。

  • パワーミストO4 スターターセット
    22,000

    手のひらサイズの酸素カプセル。 無駄なく効率よくいきわたる溶解型酸素。 酸素不足からくる様々な不調に毎日の酸素メンテナンスを。

ちゃこーるぐれいオンラインショップ