獣医師コラム

「食べるもの」記事一覧

ローテーション食の話

【ローテーション食】のお話。

多種類のフードを与えるために、『毎日、3種類のフードを混ぜて与えています♪』という方がいます。

しかしこれがくせ者。
ローテーション食を意識してくださる飼い主様は、フードメーカーもこだわっているケースが多く、こだわりのメーカーさんほど添加物の量が少ないですから、傷みやすい・・・つまり開封してからの鮮度が大切になります。

よろしければ以前書いたコラムをお読みください。
●フードの鮮度
https://charcoal-gray.com/column/232/

フードの油が傷むと【過酸化脂質】と呼ばれるとっても身体によくない油になります。
開封して時間が経ったポテトチップス、古い油で揚げた揚げ物を食べると胃が持たれる・・・それは酸化した油を摂取したことによって胃にとても負担がかかっているということ。

◎過酸化脂質(Wikipedia)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%8E%E9%85%B8%E5%8C%96%E8%84%82%E8%B3%AA

・体内での活性酸素の発生
・動脈硬化
・DNA損傷を誘起することによる発がんの可能性

こんなことが書かれています。

なのでドライフードをローテーションをするときは、お気に入りのフードを何種類か見つけたら、2~3週間くらいで食べきれるくらいのサイズのものを使ってもらい、使い切ったら次のフードに切り替える。

ということをオススメしています。

毎日・・1週間・・1カ月・・では複雑な種類の食材は食べられなくても、3が月・・半年・・1年という単位で見ると、さまざまな食材がカラダを作ってくれることになりますよね。それでいいんじゃないかと。

でも、いろんなフードをこまめにローテーションという場合、ドライフードであれば、小分けにして真空パックして保管すると、空気に触れずに管理でき、油の鮮度が保たれると思います。
また、缶詰フードを利用すると、缶詰は開封してから2,3日のうちには食べきると思うので、いろんな缶詰をローテーションするのもオススメ。食費がかかる~、という場合はドライフードにトッピングしてもいいと思いますよ。

『でも、フードを切り替えるときは数日かけて少しづつ切り替えないといけないのでは?』とご質問を受けたことがあります。

これは、【1種類のフードを長期間与え続けていた場合】の話。

食べたものは胃酸でドロドロにされ、さまざまな消化酵素で細かく砕かれ、腸で吸収されて便に出ます。
このときに【胃】【胆嚢】【膵臓】【腸内細菌】の働きがとても重要になります。

たぶん、、ですけど、これらの臓器や腸内細菌って、毎日同じものしか入って来なければ、毎日同じ仕事しかしないと思うんです。
例えば腸内細菌で見た時、善玉菌・悪玉菌・日和見菌・・・これらの動きは常に一定(というわけでないかもしれないけど)で済んでしまうと思うので、違うものが入ってくると、びっくりしてしまうというか、いつもと違う仕事をしないといけないので、休眠状態の腸内細菌が突然起こされるというか・・・それが負担になると思うんですよね。(海外旅行して、知らない土地のものを食べるとお腹を壊すけど、しばらくいると慣れる・・・みたいな感じでしょうか。)
頻繁に違うものが腸内に入ってくる生活であれば、様々な腸内細菌たちはフレキシブルに働いているはずなので、何が入ってきても柔軟に対応できるはずなので、腸内環境が丈夫になるでしょうし、腸内環境を整えるということは、免疫力もUPするだろうということが予想できます(免疫細胞尾70%は腸が作っていますので)。
胃・膵臓・胆嚢も、入ってくる材料によって日々仕事の仕方が変われば、きっと丈夫になるのでは、と思っています。

そもそも、フードは切り替えに時間をかけないといけないという意識が合っても、おやつはそこまでこだわらないですもんね(笑。

私も獣医になって普通に一次診療施設で働いていた十数年は
『ペットは総合栄養食以外のものは与える必要がない』と飼い主さんに指導してきました。
大学でも獣医師になってからも、私達獣医師は基本的にそのように学んできましたから、おそらく世の中の獣医師の大半は、このように考えていると思います。理論上は、科学的には合っているのでしょうね。

人の日常の食事の内容を選ぶのは自分自身や、ご飯を作るお母さんの責任であるように、ペットのフード選びは飼い主様の自己責任。
獣医師の指導に従って決められたフードを与えるもよし、ご自身で情報収集をして納得のいく与え方をするのもよし、だと思います。

フードや食事選びのご参考になればと思います。


ペットフードの原材料

一般的に売られている、【総合栄養食】と呼ばれるフードは、どのような組成なのか。
当店舗で扱っているフードを使って説明しますね。
うちは大きなお店ではないので多銘柄は扱えないのですが、それなりにこだわって厳選しているつもりではいるんですよ。

●キアオラ カンガルー

https://www.charcoal-shop.jp/product/78

キアオラは、良質な動物性タンパク質をできるだけ多く使うことをコンセプトとし、ドライフードの製法上、”つなぎ”としての最低限の炭水化物しかいれない、、というフードメーカーさん。担当の営業の方に詳しく説明を聞きましたが、輸入メーカーとしてはかなりこだわりを持ったメーカーだと思っています。

動物性タンパク源は【カンガルー】【ドライフィッシュ】
それに【エンドウ豆】【タピオカ】【全粒亜麻仁】が主原料・・・いわゆるグレインフリー(穀物不使用)で、あとは、【総合栄養食】の基準を満たすために、さまざまなビタミンやミネラルが添加される形になります。
(グレインフリーがペットフードにとって重要なのかどうかは、また後日私の見解を書きますね)

材料のイメージはこんな感じ。
これじゃ、どう見ても【バランスの良い食事】とは言えず、すべてのビタミンやミネラルを含めた栄養素は取れませんもんね。
なのでサプリメントを足し算です。

一般的なメーカーはこんな感じです。

そこで、相当頑張っているメーカーが【ドットわん】

●ドットわん RED-mind

https://www.charcoal-shop.jp/product/130

このフードのすごさは、一切人工的な添加物を使わずに【総合栄養食】の基準をクリアしているということ。
【おから】【牛肉】【玄米】【小麦胚芽】【牛骨】【にんじん】【昆布】【わかめ】【豚腎臓】【豚肝臓】

材料のイメージはこんな感じ。
できるだけ添加物を入れずに作りたいというメーカー側の意欲が伝わります。
でも、よく見るとこんなにこだわっていても、食材の種類ってこのくらいなんです。

ちなみに、同じドットわんでも【ドットわん 豚】だとこうなります。

イメージ画はこんな感じ。

かなり頑張ってみたけど、どうしてもこれだけは食物から摂取するは無理だった・・・といったところでしょうか。
なのでサプリメントを足し算。

ほかにもこだわりのフードを作っているメーカーさんは沢山ありますから、気になるフードはパッケージ裏の【原材料】をチェックしてください。

私がお伝えしたいのは、どのフードメーカーが良いとか、フードの添加物の良しあしのことではなく、【総合栄養食】というのはペットにとっての万能食ではなく、どんなにこだわっていても1つのフードから得られる食材のバリエーションには限界があるということ。

総合栄養食=必要最低限の栄養素が全て含まれている食事
とするならば、それは【栄養素の欠乏症】を回避する食事であって、その子その子にとってベストな栄養バランスではない、と考えたほうが正解だと思っています。

なのでできれば、【1種類のフード】に限定せず、【いろんなフード】を代わる代わるあげてもらう【ローテーション食】にすることによって、いろんな食材を取り入れてもらうほうがいいのではないかな、と思っています。

そして、何か不足しているなーと思うのであれば、お野菜やお肉をトッピングしてあげればいいと思っています。

ローテーション食のコツは、また次回に。

総合栄養食は万能食?

『ペットは総合栄養食とお水だけあげていれば健康を維持できる』
『ペットは人の食べるものをあげてはいけない』

そんなふうに思っている人、多いのではないでしょうか。

私も獣医になって十数年は、なにも疑問に思わず飼い主様に指導してきましたから、獣医師の多くはそう思っていると思います。

では、人の【総合栄養食】ってありませんよね。
このご時世、(作るのが面倒だから、とりあえずこれだけ食べていれば大丈夫、、的なものがあったらいいのに・・・)と思っている人もいるはずなのに、そういった人用のフードは登場しない。人のほうが栄養学は発達しているはずなのに。。

なぜか?
一言でいうと、そんなものはそもそも【定義】できないから。
これに尽きると思っています。

では、ペットの【総合栄養食】とは何か?

総合栄養食=万能食
ではなく
総合栄養食=AAFCO(全米飼料検査官協会)が規定した栄養素の”必要最低限の量が全て入っている”フード
です(日本国内の機関は”ペットフード公正取引協議会”です。)。

”AAFCO 栄養基準 一覧”で検索すると、いろいろ出てきますので気になる方はご確認を。

要は、全ての栄養素が”充足”しているのではなく、”欠乏症が起こらないような量”は入っていますよ、ということです。

総合栄養食=ペットにとってバランスの取れた食事
と思っている方。
バランスの取れた食事=お肉・穀物・お野菜・お豆・海草など、毎日私達が食べている彩りのある、お母さんが作ってくれる晩ご飯のようなイメージではないでしょうか?
残念ながら、そんなフードはとても珍しいです。

添加物や人工物の入ったフードは与えたくない
最近はそんな健康意識の高い飼い主様も多いと思います。
ただ、残念ながらそんなフードもとても珍しいです。

犬には犬専用のものをあげ、人の食べているものは与えてはいけないの?
これは、獣医師がそのように教育されてきているので、何の疑問もなくそのように指導してしまっていることと、フードメーカーの宣伝広告におどらされているだけ、だと思います。
ただ、人の食べているお菓子、スイーツや果物、人のおかずのから揚げなど、体重50㎏のヒトにとっては”一口分”のつもりが、体重が3㎏のチワワさんにとっては、結構な量になっているのだよ、ということに注意しないといけません。
犬は胃袋の容量が大きく、食いしん坊さんはいくらでも食べてしまいますから、ついつい与えすぎてしまうので、太ったりとか、膵炎のリスクを上げたりとか、健康被害が出るのだと思います。
多少味付けがあるものでも、心臓や腎臓の機能が問題なければ体はちゃんと対処できます。
(かといって、味付けの濃いものをあげてよい、ということではないですよ)

手作り食はバランスが取れているか不安
ぶっちゃけ言えば、そんなに気にしなくていいはずです。
そもそも、自分が食べている普段作っているご飯、人の管理栄養士の指導の下、栄養基準にのっとって作っています??一つ一つの食材のグラム数を量り、カロリー計算しています??てことです。
ただ、毎日何種類ものおかずを作って食べているヒトと、3食コンビニ弁当のヒトでは『バランスの取れた栄養』の概念は違ってくるのでしょうが。。

(その代わり、犬のごはんだから”鶏肉”と”ニンジン”と”ブロッコリーと”キャベツ”を毎日あげる(要はワンパターンなメニュー)・・・みたいな発想になってしまうなら、ペットフードのほうがメリットが高いと思います。
毎日キチンをご家族のために食事を作っている方なら、手作り食もアリだと思います。)


そもそもペット用のフードが作られた経緯は、”ペットの健康を考えて”ではなく、100年から150年くらい前のイギリスやアメリカにおいて、”人の加工食品を作った際の廃棄となる食材の有効利用のため”です。
『え~~~~っ!』て思いません?これ、本当の話なんです。

なので、そもそもは、加工食品会社の利便性と経済性のためであって、ペットの健康のためではなく、”健康に配慮”にするために統一基準を作りました、と言うのが正解です(こんなこと書いたら偉い人に怒られそう)。
スタートラインがそこなので、ペットフード=バランスの取れたパーフェクトフードにするのは、そもそも無理な話、と思ったほうがいいと思います。

でも忙しい現代社会においては、、愛犬の手作りを毎日するのは大変なケースも多く、手軽に使える既製品を利用したいもの。
実際、私もペットフードが決して優れているとは思っていないものの、愛犬にはペットフードを与えています。自分の生活パターンでは丁寧にワンコの食事を作ってあげるだけの時間がないので。。

なので、できるだけ正しい情報収集をして、できるだけ自分が納得いく形に持っていけるか、ということが大切かな、と思います。

次回は当店で扱っているドッグフードの表記を見ながらドッグフードってどういうものなのか簡単に解説します。

フードの鮮度

『2日前から下痢なんです、でも食欲は旺盛なんです』
そんな往診依頼を受けることがあります。

往診依頼の場合、最初は電話対応になりますで、まず
『何かいつもと違うものを食べてしまっていませんか 』とお伺いするのですが、
『いつもと同じフードといつもと同じおやつしかあげてません』という返事が返ってくるケースが多いです。

『では、そのフードを何日前に開封しましたか』
と聞くと
『えっ??何日前かは覚えていません』と返答をいただくことも多いんですよね。

ドライフードには一般的に油が添加されており、この油は空気に触れると酸化します。
酸化した油は【過酸化脂質】と言って 非常に体に悪いものになります。
腐っているわけでも食べているわけでもないので、見た目で判断するのは難しくなります。

私たちがポテトチップスを食べるとき開封してから何日までは美味しく食べれますか?
一週間も経つと美味しくなくなると思います。無理に食べると胃が持たれる感じがしますよね。脂が酸化するんです。
良質なフードと呼ばれるものほど添加物があまり入っておりませんので、傷みやすい傾向があります。特に抗酸化剤と呼ばれるものも天然成分であることが多いです。
抗酸化剤とは何かと言うと、本来酸化してもらいたくないフードの代わりにそれが自ら酸化されるということになります。なので抗酸化剤はひとたび役目を終えるとそれ以上の仕事ができなくなります。
フードに添加されている抗酸化物の効果は永久には続かないということです。
なので 開封して一か月も経っている場合、酸化したフードでお腹を壊している可能性も考えたほうがいいです。
特に梅雨時などの湿度の高い時期や、冬場の昼と夜の寒暖差が強くなるような所に保存しておくと、フードの袋の中の湿気を吸いますので傷みやすくなります。
あ、品質の良いドライフードほど、常温保存で冷蔵不可の場合が多いです。
冷蔵庫から出し入れするたびに室温の空気を入れて冷蔵しますので、その空気が冷えて結露し、フードが傷みやすくなります。
あと、キッチンの足元の米を保管している棚の横に置いているケースもありますが、これも意外とNG。コメは乾物ですが、ドッグフードはあくまで加工食品です。
冬場、暖房の効いたリビングで保管している場合、夜間は暖房を切って冷え、フードの寒暖差が大きくなりますので、1日を通じて寒暖差の少ないところで保管してくださいネ。
なのでこのようなトラブルの場合、フードを新品に変えてもらうだけで、 往診に行って診察をしたりお薬を出したりすることなく治ってしまうケースもしばしば見受けられます。
特に2匹以上の多頭飼いで同時に下痢をした場合で、フードやおやつの変更をした覚えがない場合、まずフードの開封日を思いかえすといいと思います。
フードは食品なので、できれば開けてから10日から2週間ぐらいで食べきった方が良いと考えています。
また”開封後はタッパーに移し替えて保存しています”という方もいらっしゃいますが、タッパーを毎日開け閉めしていると、実は新鮮な空気の入れ替えをしていることになります。
そしてフードの残りの量が減ってくると容器に占める空気の割合が多くなってくるので、古くなったフードはどんどん空気に触れることになります。
袋に入ったフードも空気を抜いてジップしておかないと空気に触れることになります。

ちなみに当店のフードやおやつは試食ができるようになっていますが 開けたフードは小分けで使い切れるように真空パックをしています 今は真空パックの機械もお値打ちに手に入りますので、フードやおやつをあげて消費に時間がかかるようであれば、数日で使い切る量で真空パックをして保存することもお勧めです。

これは、『食欲はあって嘔吐もないけど下痢』の場合の話であって、『食欲もなく嘔吐もある下痢』場合はちゃんと動物病院を受診してくださいね。

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