【ガンケア】がんと診断された時の考え方とケアについて
■がんと診断されたときに考えるケアについて
愛犬・愛猫が「がん」と診断されたとき、多くの飼い主さんは大きな不安を抱えます。
「何を食べさせればいいの?」
「サプリメントは必要?」
「何かしてあげられることはないの?」
そんな思いから情報を探し始める方も多いと思います。
まずお伝えしたいのは、がんと診断されたからといって、すぐに何か特別なことをしなければならないわけではないということです。
また、「このサプリメントを飲めば治る」「この食事だけで大丈夫」といった単純な話でもありません。
私自身、往診でさまざまながんの子たちと関わってきましたが、
・がんの種類や進行度
・年齢
・体力
・食欲
・併発疾患
によって必要なケアは大きく異なります。
そのため私は、まず体全体を支えることを大切に考えています。
■がんの種類によって状況は大きく異なります
一口に「がん」といっても、
・リンパ腫
・肥満細胞腫
・乳腺腫瘍
・血管肉腫
・骨肉腫
・肺腫瘍
・肝臓腫瘍
・脾臓腫瘍
など、さまざまな種類があります。
また、
・手術ができるのか
・抗がん剤治療を行うのか
・緩和ケアを中心にするのか
によっても考え方は変わります。
だからこそ、「がんだから○○をすればいい」という単純な話ではなく、その子の状態に合わせて考えることが大切です。
① 栄養
まず最も大切なのは栄養です。
どれだけ良い治療やサプリメントがあっても、食べられなければ体は維持できません。
がんが進行すると、
・食欲低下
・体重減少
・筋肉量の減少
が起こることがあります。
特に筋肉量の低下は体力や免疫力にも影響するため注意が必要です。
「何を食べるか」
も大切ですが、それ以上に
「しっかり食べられているか」
を重視する場面も少なくありません。
がんは感染症のように外から入ってきたものではなく、その子自身の体の中で生じた病気です。
もちろん、食事だけが原因でがんになるわけではありません。
しかし、私たちの体が毎日の食事から作られていることも事実です。
筋肉も、皮膚も、血液も、免疫細胞も、すべて食べたものを材料として作られています。
だからこそ、がんと向き合うときも
「何を治療するか」
だけでなく、
「どんな材料を体に入れるか」
という視点が大切になります。
私自身、往診の現場で多くの子たちを見てきましたが、治療内容が同じでも、しっかり食べられている子と食べられていない子では、その後の体力や生活の質に大きな差が出ることを感じています。
まずは体を支える土台として栄養を整えること。
これは、がんの種類や治療方針に関わらず、多くの子に共通して大切なことだと考えています。
② 腸内環境
腸は単なる消化器官ではありません。
食べたものを消化・吸収するだけでなく、全身の健康を支える重要な役割を担っています。
特に注目されているのが「腸管免疫」です。
体の免疫細胞の約70%は腸に集中しているといわれており、腸は免疫と深く関わる器官でもあります。
そのため腸内環境が乱れると、
・栄養の吸収効率の低下
・下痢や軟便
・食欲低下
・体力の低下
などにつながることがあります。
がんの子では、
・下痢
・軟便
・食欲低下
・抗生剤の使用
・加齢による腸内細菌の変化
などによって腸内環境が乱れやすくなります。
私自身、がんの子のケアを考えるときには、腫瘍そのものだけでなく、まずはしっかり食べたものを吸収できる状態を維持できているかを大切にしています。
腸の状態を整えることは、栄養面だけでなく、体全体の健康維持を支える土台のひとつになると考えています。
③ 血流
栄養や酸素を全身に届けるためには血流が欠かせません。
どれだけ良い栄養を摂取しても、必要な場所へ運ばれなければ十分に活用できません。
また、体内で発生した老廃物を回収し、排出するためにも血液の循環は重要です。
私たちが体調を崩したときに手足が冷たくなることがあるように、犬や猫でも体調が悪くなると血流が低下し、末端の冷えが目立つことがあります。
実際に往診の現場でも、
・足先が冷たい
・耳先が冷たい
・お腹が冷えている
・以前より体温が低い
といった状態を見かけることがあります。
特にシニア期や体力が落ちている子では、活動量の低下や筋肉量の減少によって血流が滞りやすくなります。
体温と免疫には深い関係があることも知られています。
体温が下がると免疫細胞の働きも低下しやすくなるため、適切な体温を維持することは健康管理の上でも大切な要素のひとつです。
もちろん、「体を温めればがんが治る」という単純な話ではありません。
しかし、栄養や酸素を運び、老廃物を回収し、全身の細胞が働きやすい環境を整えるという意味で、血流や循環を意識したケアは重要だと考えています。
私はがんの子に限らず、シニアの子や慢性疾患のある子でも、
「食べること」
「出すこと」
そして
「巡らせること」
を大切にしています。
④ 抗酸化・抗炎症対策
がんの子では、腫瘍そのものだけでなく、体の中でさまざまな炎症反応が起きていることがあります。
また、がん細胞の活動や慢性的な炎症に伴い、体内では酸化ストレスが増加しやすい状態になると考えられています。
活性酸素は本来、細菌やウイルスから体を守るためにも必要なものですが、過剰になると正常な細胞にも負担をかけることがあります。
さらに慢性的な炎症は、体力や栄養を消耗する要因のひとつになることもあります。
もちろん、抗酸化対策や抗炎症対策だけでがんが治るわけではありません。
しかし私は、がんの子の体調管理において、
・栄養をしっかり摂ること
・腸内環境を整えること
・血流を維持すること
と同じくらい、
「体の中で起きている炎症や酸化ストレスをできるだけ抑えること」
が大切だと考えています。
実際の現場でも、体調が安定している子ほど、こうした土台の部分が整っていることが少なくありません。
⑤ 自律神経と睡眠
意外と見落とされがちですが、
・よく眠れる
・リラックスできる
・食欲がある
という状態は非常に大切です。
犬や猫も人と同じように、体調やストレスの影響を受けています。
例えば、
・夜中に何度も起きてしまう
・落ち着きがなくウロウロする
・以前より眠りが浅い
・食欲にムラがある
といった変化が見られることがあります。
自律神経は、単に気持ちの問題ではありません。
食欲や胃腸の働き、血流、睡眠など、体のさまざまな機能に関わっています。
そのため自律神経が乱れると、
・食欲が落ちる
・腸の動きが悪くなる
・下痢や便秘が起きやすくなる
・血流が低下する
・眠りが浅くなる
などの変化が現れることがあります。
つまり、これまでお話してきた
「栄養」
「腸内環境」
「血流」
にも、自律神経は深く関わっているのです。
実際に往診の現場でも、
「よく眠れるようになったら食欲が戻った」
「落ち着いて過ごせるようになったら表情が変わった」
という場面を何度も経験してきました。
もちろん、自律神経を整えればがんが治るわけではありません。
しかし、その子が穏やかに過ごせる環境を整えることは、生活の質(QOL)を維持する上でとても大切なケアだと考えています。
■がんケアで大切なのは「体全体を見ること」
がんと診断されると、どうしても腫瘍そのものに意識が向きがちです。
しかし実際には、
・食べられているか
・眠れているか
・便は出ているか
・体重は維持できているか
・毎日を穏やかに過ごせているか
こうした日常の積み重ねも非常に重要です。
私は往診の現場で、「病気だけでなく、その子の生活全体を見ること」が大切だと感じています。
今回ご紹介した、
・栄養
・腸内環境
・血流
・抗酸化・抗炎症
・自律神経
は、私ががんの子のケアを考える上で大切にしている土台の考え方です。
ただし、実際には同じ「がん」であっても、
・どの部位の腫瘍なのか
・年齢は何歳か
・食欲はあるのか
・抗がん剤治療を行っているのか
・他の病気はあるのか
によって、選ぶべき方法は大きく変わります。
そのため、このページだけで具体的なケアのすべてをお伝えすることはできません。
私が実際の診療やカウンセリングでお伝えしている、
・食事の考え方
・サプリメントの選び方
・腸内環境の整え方
・抗酸化対策
・日常でできるセルフケア
については、獣医師メルマガで詳しく解説しています。
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という方は、ぜひ一度ご覧ください。
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